水素基本戦略(案)を読んでいて、「蓄電池でもよい部分は多いのかもしれない」と考え始めています。
水素は地球に埋蔵されているものではなく、水分解などで生成されるものです。加えて、エネルギー密度は薄い。エネルギーを使って水素を作り、それをまたエネルギーにするわけですから、変換効率も劣ります。では、なぜ水素が必要なのか?
製鉄のように超高温帯における熱源には、石炭などに代わる直接燃焼の原料が必要だから。
です。製鉄業界では超高温帯の熱源を使わないように、水素還元製鉄などを技術開発していますが、まだ途上。ですから、限定された産業では水素は必要です。
一方で、電炉はどうなのか?電炉1基あたり100MW出力であり、そのような大出力の蓄電池が存在するのか?を調べたところ、Neoen社のVictoria Big Battery(オーストラリア)で、300MW、450MWhの大出力、大容量の蓄電池があります。
そうすると、電炉は理論上蓄電池の基数を増やせば、夜間の運転は賄えることになります。
水素か蓄電池か、世界はすでに水素一本ではない趨勢ですが、日本はなぜ水素にそこまで投資を呼び込もうとしているのか?冷静に振り返る時に来ていると考えます。